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2023年2月10日
訃報

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 (2011年4月4日 朝8:16 東京都千代田区国立劇場にて撮影)

  

  私は、今から48年前の昭和38年(1963年)4月に弁護士になりました。

  弁護士として最初に受け持った仕事の一つに、「新日本チッソ株式会社(『チッソ株式会社』を経て、2011年4月1日『JNC株式会社』に名称変更)」の労使関係の案件がありました。相手は合化労連で、委員長は太田薫様でした。
▶ JNC株式会社ウェブサイトはこちら

 私は、当時チッソを訪れた際、熊本県水俣市にある湯の児温泉で、『山海館』(電話番号:0966-63-1092)
URL:http://www.sankaikan.com/という旅館に泊まりました。『山海館』は、春の桜が素晴らしく、また、天草諸島及び不知火海の海面は、柔らかな日差しにゆらゆらと煌めき、とても美しかったことを折々想い出します。

 

【津波=TSUNAMI】

 しかし、海は、湯の児温泉の海のような穏やかな表情を一変させて、想像を絶する被害を出す凶暴性をも有することを、この度の東日本大震災(「東北地方太平洋沖地震」から名称変更)において再認識したのは、私だけではないと思います。

  そもそも「津波」というのは以下の(注)のとおり、元々は日本語ですが、日本が地震国であるが故に「津波」という言葉は、国際用語となっています。

 (注)世界各国のメディアもこの津波による被害について報道しています。いつから「津波」を国際用語で「TSUNAMI」 と使用するようになったのか調べてみると、島根県松江市に住んでいたこともある小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が、著書『Gleanings in Budda-Fields』に収録されたA LIVING GOD(生神様)の中で、地震後に沿岸の村を飲み込む巨大な波を「TSUNAMI」と現地語の日本語で表現したのが始まりとされているそうです。

 そもそも「津波」に正しく該当する英語が無く、1946年にアリューシャン地震でハワイに津波の大被害があった時に、日系移民が「TSUNAMI」という語を用いたのをきっかけに、アメリカ合衆国では「TSUNAMI」が広く用いられるようになったそうです。その後、1968年には海洋学者ヴァン・ドーンが学術用語として使うことを提案され、国際語化したということです。

 

【福島第一原発事故】

 今、世界が最も注目しているのは、原子力発電所問題でしょう。

  これは、「科学万能(サイエンス万能)」と謳って、世界最大の原子力発電を誇っていた日本の科学技術にとっては、痛打となっています。

 私は、まず、原発問題について、国と東京電力は、「想定外の天災だった」という言い訳をすべきではないと思っています。なぜなら、天災はそもそも、決して想定できるものではないからです。天災が想定外であることは、なかば必然なのです。

  例えば、岩手県宮古市田老地区には、海面からの高さ10メートル、全長2400メートルの世界最大規模の津波防波堤がありましたが、この度の大津波は、その防波堤を超えて、更には防波堤を壊して、家や車を飲み込んで行ったということです。堤防施設のような「ハード」面だけで天災を防ぐには限界があったのです。

 想定される天災のレベルに対しての「ハード」面の対策をとるのは当然のことで、実際はそれを上回る想定外の災害となる可能性があるのですから、「ハード」面にとどまらず、避難計画など「ソフト」面の対策も備え、あらゆる角度・視点から事故防止策をあらかじめ立案・訓練し、万全に備えておくべきだったのです。

  国と東電が対応しているような、後手後手の対応では、震災でただでさえ混乱に見舞われている国民を、更に混乱させ、不安にさせるだけです。事故発生後になってやっと形式上の「災害対策本部」を設置して机上で対策を練るのではなく、事前にあらゆる想定の下、シミュレーションと訓練を重ね、万全の体制を整えておく必要があったのです。国や東電は、これを怠っていたのではないでしょうか。それは重大なる過失と言うべきでしょう。

  国との関係を含めて東電に関する今後の対応策の柱を、次回に述べたいと思います。

 高井・岡芹法律事務所
会長弁護士 高井 伸夫

<次回に続く>

高井伸夫でございます。

本日より、ブログを開設することとなりました。
毎週1回、金曜日更新予定です。

まずは、この度の東北地方太平洋沖地震で被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。

 

【一致団結】
この度の大震災を受けて、今、多くの日本人が、どんな不自由でも甘受する覚悟を決めていると思います。この最悪の非常事態だからこそ、日本人は「一致団結」し、不撓不屈の精神をもって、一刻も早い復旧と更なる前進・復興を目指し邁進する必要があります。

被災をまぬがれた地域にも計画停電などの影響がありますが、被災していない人々は、この地震に萎縮せず、平常通り活動する必要があります。私も毎日活動し、働いています。なぜなら、平常通り活動しないと、お金の流れが滞り、すなわち、御足(おあし)がなくなって(「お金がなくなる」こと)しまうからです。そうすると、日本経済に打撃を更に与え、雇用の減少という致命的な結果になってしまい、被災地の復旧活動は、一層困難なものとなってしまうでしょう。現に、産経新聞は、3月30日朝刊第6面記事で、米紙ニューヨーク・タイムズが3月28日付で「津波後の日本は自粛という新たな強迫観念に襲われた」との見出しの記事を掲載し、その中で、日本で「地震、津波、原発で何十万という国民が被害を受けたことから、被災地以外でも、少しでも贅沢に見える活動はすべて非難されるようになった」とし、「もともと停滞していた日本経済に侵食効果をもたらし、倒産を急増させるだろう」と述べている、と報じています。

復興を支えるには、日本経済が元気でなければならないのです。被災地以外に居住する人々は、地震に委縮せず、これまで以上に産業活動・消費活動を続けることが、被災地の復旧・復興に寄与することであるということを自覚しなければならないと思います。

 

【救国内閣】
さて、この度の地震被害からの復興に向けて、国民が「一致団結」するためには、国難乗り切りの舵取りに、強いリーダーシップを持った人物に国政をゆだねる必要があります。このリーダーに政治・行政の在り方を刷新する等様々な細心にして大胆な改革を果敢に実行してもらわねばなりません。

しかし、今、「末期症状」を呈しているとも評価されている菅直人氏が、日本の命運を握っているというのが現状です。危機対応のノウハウも経験も不足している菅政権は、原発問題を巡る対応や、計画停電の実行について、情報発信・対策・連携が後手々々に回るなど、まさに危うさが露呈しています。

災害対策の経験に長けた人材を野党から登用したり、野党と合同の対策本部を設けたりするレベルの提案がされていますが、こうした連立政権を念頭におく程度の貧困な発想では、この未曾有の国難に対応しきれないのではないでしょうか。

私は、今こそ「救国内閣」の成立のときだと思います。その総理大臣には、橋下徹氏(大阪府知事)か、小泉純一郎元総理大臣が適任だと考えています。

橋下徹氏は大阪府知事でありますが、堺屋太一氏等をブレーンにし、大阪市・堺市等の統合をはかって、大阪都を創りたいという大胆な発想で行政改革をなさっています。この橋下氏の改革力、発想力は、是非、国政レベルで活かすべきだと思います。

また、小泉純一郎氏は、すでに政界を引退し二男の進次郎氏に後継を委ねられていますが、純一郎氏は国会の外での政治活動は続ける旨発言されているので、政界へ再び参入していただくことを求めたいと思います。

橋下氏・小泉氏のような強烈な個性の持ち主がトップに立てば、きめこまやかで意欲的な姿勢をもって巧みに政治が行われ、政治はもとより経済・社会も活性化し、それがひいては被災地、日本全体の活性化をもたらすものと信じています。
▶ 橋下徹氏 オフィシャルウェブサイトはこちら
▶ 小泉進次郎氏 オフィシャルブログはこちら

 

【首相公選制】

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判例六法編集委員会[編](2009)、『模範六法2010 平成22年度版』、三省堂、38頁

 

しかしながら、総理大臣は国会議員の中から選任されることになっているため(憲法67条)、両氏とも、現憲法下では総理大臣になる資格がありません。1961年に、中曽根康弘元総理大臣が、「首相の公選制」を主張されていたことの意味が、いまさらながら思い起こされます。

つまり、日本にとって更なる国難が今後相次いで現れると予測される中、現制度を改め、国民全体の中から、強いリーダーシップを持った傑物を選ぶべきではないでしょうか。救国内閣が指揮をとり、果たすべき任務を迅速・確実に果たしていく必要があるからです。

ただ、憲法96条に定める改正手続のもとでは、年月を要するばかりで、およそ憲法改正を実現することは不可能に近いでしょう。ですから、たとえば「総理大臣に相応しい人物を全国民から選ぶための国民投票を行い、得票数第1位の者には、全国区選出の国会議員としての資格を付与し、同時に、その者は不文律として内閣総理大臣に選出される」というような公職選挙法等の改正を行って、憲法の条項をクリアする工夫をする必要があります。

「不文律」とは、「(1)文書で示されない法律 (2)黙っていても、その組織の各員が承知して守っているおきて」のことです(『大きな活字の新明解国語辞典 第六版』2007年、山田忠雄[主幹]編、三省堂)。不文律を用いた憲法の条文をクリアすることはかなり無理のある荒唐無稽な案かもしれませんが、そうでもしなければ、現状は打破できないと考えています。日本人の理性・判断力を信頼した手続きで、真のリーダー選びを行わなければならないのです。

なお、「首相の公選制」については、直近では、2002年に小泉内閣において、「首相公選制を考える懇談会」報告(*)によって詳細な検討が行なわれました。この報告書では3つの案が示されています。

(*)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kousen/index.html

現下の非常事態においては、憲法改正論議を行っている時間はなく、何よりもスピードが重視されます。ですから、憲法改正を前提とせずに、政党は広く国民に開かれた党首選出手続を設け、世論を反映したリーダーの選出を行うとする、第3案が妥当のようにも思われます。しかし、私はこの案については疑問を抱いています。無党派層が国民の30パーセント以上を占めているという中で(2011年7月11日投開票の参院選での読売新聞社調査、2010年7月5日記事よりhttp://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20100704-OYT1T00806.htm)、政党の党首を選出するという手続きは、いかにも古臭いのではないか、と考えているからです。

 

【震災者に贈る言葉】
被災者の方々の、日々苦労の絶えない辛い生活を、テレビ等を通じて拝見すると、心が痛み、言葉を失うばかりです。
そこで、幸田露伴(1867年~1947年)が関東大震災(1923年9月1日)について述べた言葉を引用して、私からのお見舞いの言葉とさせていただきます。

「過去は日々に遠くなる、未来は日々に近くなる、一日を経れば一日だけ大災害を被ったのは遠くなるのである、壮美な大東京建設の日には近付くのである。此の際には一にも勇気である、二にも勇気である、三にも四にも何にも勇気である」(幸田露伴『震災者に贈る言葉』より)

日本人全体で緻密にして果敢な勇気を持ち真摯に取り組み、被災地が、更には日本が、一刻も早く壮美に(力強く美しい状態をいう)復旧・復興するよう願っております。そして、日本人には、それが可能であると信じております。

高井・岡芹法律事務所
会長弁護士 高井伸夫

(次回に続く)

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